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停電時,太陽光・蓄電池で何ができる?

停電しても,いつもと同じように電気を使えるとは限りません.太陽光のみと蓄電池を組み合わせた場合を比べ,必要な家電,出力・残量・回路と安全な備え方を確認します.

住宅用太陽光・蓄電池 / 導入検討から停電前の備えまで

蓄電池からの夜間給電を想定したスマートフォンと停電用コンセント
目次
  1. 停電中,太陽光だけで何ができる?
    1. 昼間は,自立運転でスマホの充電などに使える
    2. 夜間は発電せず,昼間も天候と出力上限に左右される
  2. 蓄電池があれば,何をどのくらい使える?
    1. 蓄えた電気があれば,夜も照明や冷蔵庫などに使える
    2. 使える家電は,出力・回路・電圧の対応で決まる
    3. 家電を絞ると,同じ蓄電量でも長く使える
  3. 導入前・停電前に,何を確認する?
    1. 導入前に,使いたい家電と対応設備を見積もりで確認する
    2. 設置後は,切替方法と使える接続先を確認する
    3. 照明や予備電源を用意し,太陽光・蓄電池だけに頼らない
    4. 破損・浸水した設備には近づかず,施工会社へ連絡する

停電中,太陽光だけで何ができる?

昼間の自立運転でスマートフォンを充電する場面のイメージ

太陽光だけでも,発電している昼間には対応機器から電気を使えます.ただし,普段のコンセントがすべて使えるわけではなく,天候や設備によって使える範囲が限られます.

昼間は,自立運転でスマホの充電などに使える

自立運転に対応していれば,停電中も発電した電気を使えます.自立運転とは,電力会社の送配電網から切り離して電気を供給する運転です.パワーコンディショナ(発電した電気を家庭で使える形に変える機器)などの機能と,指定のコンセント・回路を確認しましょう(太陽光発電協会,2026).

例えば,スマホの充電や照明など,必要な機器を指定コンセントにつないで使う方法があります.自動で切り替わるか,手動操作が必要かは機種や設定によって異なるため,操作は自宅の取扱説明書に従ってください(パナソニック,2026a).

夜間は発電せず,昼間も天候と出力上限に左右される

太陽光だけでは,発電していない夜間の電気をまかなえません.曇りや雨などで日射が弱くなると,昼間でも使える電力が減ります.パネルの容量が大きくても,停電時にその容量分を使えるとは限りません.

パナソニックの案内には,自立運転で使える電力が最大1,500 W(1.5 kW)の機種があります.これはその機種の上限であり,日射によってはそこまで使えないとされています(パナソニック,2026a).選ぶ機器の「自立運転時の出力」を確認し,使いたい家電の消費電力と照らし合わせましょう.

太陽光のみと蓄電池を組み合わせた場合の違い
場面太陽光のみ太陽光+蓄電池
昼間その時に発電する電気を使う発電した電気と,蓄えた電気を使う
夜間発電しないため給電できない使える残量があれば給電できる
主な制約日射,出力上限,接続先太陽光のみの制約に加え,残量と蓄電容量

いずれも停電時の給電に対応した機器・配線が必要です.蓄電池を組み合わせると昼間の発電を夜間へ回せますが,使える家電と時間には次の制約があります(パナソニック,2026b).

蓄電池があれば,何をどのくらい使える?

蓄電池からの夜間給電を想定したスマートフォンと停電用コンセント

蓄電池は,蓄えた電気を夜間や発電が少ない時間にも使う備えになります.使える家電は出力と接続先,使える時間は残量と電気の使い方で判断します.

蓄えた電気があれば,夜も照明や冷蔵庫などに使える

停電時の給電に対応した蓄電システムなら,発電していない夜間も,蓄えた電気を使えます.太陽光から停電中に充電できる構成では,翌日の発電を再び蓄えることもできます(パナソニック,2026b).

ただし,停電が始まった時に満充電とは限りません.残量が少なければ使える時間は短く,悪天候が続けば十分に補充できないこともあります.「蓄電池があるから何日でも暮らせる」と考えず,優先する家電を絞って使うことが大切です.

使える家電は,出力・回路・電圧の対応で決まる

蓄電池の容量(kWh)は蓄えられる電気の量,出力(kW)は同時に供給できる電力です.容量が十分でも出力が足りなければ,家電を同時に動かせません.仕様がkVAで示されている場合もあるため,数値だけでkWと同じとせず,使用できる家電を施工会社に確認しましょう(パナソニック,2026b).

接続先にも違いがあります.特定負荷型はあらかじめ選んだ回路へ,全負荷型は家全体の回路へ給電する構成です.ただし,全負荷型でも,すべての家電を同時に使えるわけではありません.メーカーの構成例でも,家全体への給電には対応する切替機器が必要で,出力を超えると停止するとされています(パナソニック,2026c).

使いたい家電は,型式と同時に使う組合せを伝えて確認します.特にモーターを使う機器などは,動き始めに必要な電力も確認しましょう(ニチコン,2026).

使いたい家電と,導入前に確認すること
家電の例確認すること
スマホ・照明充電器や照明を接続するコンセント・回路に給電できるか
冷蔵庫設置場所への給電,起動時の電力,夜間も必要な残量
エアコン・IH調理器家電の100 V・200 V,停電時の対応電圧,起動時と同時使用時の出力

この表は使用を保証する一覧ではありません.全負荷・特定負荷の名称だけで決めず,必要な機器と配線を確認してください.

家電を絞ると,同じ蓄電量でも長く使える

停電時に使う家電を絞ると,蓄電池の電気を長く持たせられます.次は,停電開始時に取り出せる電力量を5 kWhと仮定した比較です.製品の公称容量ではなく,残量・劣化・使い切れない下限を考慮した後の,家庭用の電気へ変換する前の量を共通にしています.

同じ5 kWhを取り出せる場合の,使用時間の目安
比較項目全国平均の購入電力量を基準にする例冷蔵庫・照明・スマホに絞る例
計算上の使用時間約10時間約70時間
家電の消費量約10.7 kWh/日約0.9 kWh/日
設備自身の消費を含む量約11.4 kWh/日約1.6 kWh/日

家電を絞る例は冷蔵庫・照明・スマホだけの想定で,冷暖房・調理・給湯・洗濯・テレビ・通信ルーターなどの固定回線機器・医療機器は含みません.約70時間は,生活全体をその時間維持できるという意味ではありません.

共通条件は,太陽光からの補充なし,放電ロス約5%,設備自身の消費30 Wです.ロスと設備消費は当サイトの計算用仮定で,実機の停電中の測定値ではありません.計算は丸める前の値で行い,詳しい算式は給電時間の比較条件・計算根拠に示しています.

全国平均を基準にする例は,環境省の2023年度調査の全国全世帯平均3,911 kWh/年を同年度の366日で割った値を使います(環境省,2026a).戸建住宅や特定の世帯人数に限った平均ではありません.また,この統計は電力会社などからの購入分で,自宅の太陽光で発電して使った分を含みません(環境省,2026b).自宅の総消費量や,夏・冬の特定の日を再現した例ではない点に注意してください.

家電を絞る例は,次の3種類だけを毎日使う当サイトの仮定です.公的な最低必要量や,生活に十分な量を示すものではありません.家電の仕様値と換算方法は,停電参考線の家電内訳・一次資料と共通です.

  • 冷蔵庫1台:24時間通電する想定で,年間消費電力量から1日分を換算
  • LED電球2灯:各6時間使用
  • スマホ4台:各1日1回,空から満充電する想定

気温や冷蔵庫の開閉などの使い方,機器の型式によって必要な電気は変わります.

この時間は,1日の消費量を24時間で均した比較です.接続回路・電圧・同時使用時と起動時の出力が対応していることを前提としており,実際に連続して使える時間や,すべての家電の動作を保証するものではありません.導入前に,使いたい家電と時間を施工会社へ伝えて確認しましょう.

防災への備えと日常の経済性は,分けて確認します.導入費や維持費を含む収支は,太陽光・蓄電池の収支で説明しています.

導入前・停電前に,何を確認する?

平常時に取扱説明書と懐中電灯を確認する手元

導入前は使いたい家電と時間を決め,対応する機器・配線を確認します.設置後は停電時の操作を家族で共有し,設備が使えない場合の備えも用意しましょう.

導入前に,使いたい家電と対応設備を見積もりで確認する

まずは「昼間にスマホを充電したい」「夜も照明や冷蔵庫を使いたい」など,どの家電を,いつ,どのくらい使いたいかを整理しましょう.必要な範囲が決まれば,太陽光だけで足りるか,蓄電池や別の電源も必要かを考えやすくなります.

見積もりでは,容量だけでなく次の点を確認します.例えばパナソニックの創蓄連携システムでも,停電時に使う機器は事前の配線設計が必要とされています(パナソニック,2026b).

  • 必要な家電の型式と,設置場所のコンセント・回路に給電できるか
  • 同時使用と起動時の電力,100 V・200 Vに対応できるか
  • 想定する残量・使い方で,どの程度の時間を見込めるか
  • 切替機器や配線工事を含む総額と,保証の対象は何か

見積書の比べ方は,設備と工事の範囲をそろえた比較も参考にしてください.

設置後は,切替方法と使える接続先を確認する

取扱説明書で,自立運転の開始方法と,電気が復旧した後の戻し方を確認しましょう.自動・手動の切替は,機種と設定によって異なります.取扱説明書や販売店・施工店の案内に沿って確認し,操作方法と連絡先を家族で共有しておくと,停電時に迷いにくくなります(太陽光発電協会,2026)(パナソニック,2026d).

蓄電池は,停電に備えて残量を確保する設定や,事前充電の方法も確認します.気象警報に合わせて自動充電する機能がある機種もありますが,対応機器や設定が必要です(パナソニック,2026c).機能があると思い込まず,自宅の設定を確かめましょう.

また,自動で給電が始まっても,切替時に一時的に電気が途切れる場合があります.メーカーも,蓄電システムはUPS(無停電電源装置)ではないと注意しています(パナソニック,2026b).電源を切らせない医療機器などは,家庭用の蓄電池だけで対応できると考えず,機器のメーカーや医療機関へ必要な備えを確認してください.

照明や予備電源を用意し,太陽光・蓄電池だけに頼らない

日射不足や残量切れに備え,懐中電灯や充電済みのモバイルバッテリーなども用意しましょう.モバイルバッテリーは購入時にPSEマークとリコール情報を確認し,膨張・異臭・異常な発熱があれば使用を中止します(消費者庁,2026).

ポータブル電源を使う場合は,接続する家電の定格と取扱説明書を確認します.燃料を使う携帯発電機は別の機器で,一酸化炭素中毒のおそれがあるため屋内では絶対に使いません.屋外でも換気の悪い場所を避け,建物などから製品指定の距離を取る必要があります(消費者庁,2021).

破損・浸水した設備には近づかず,施工会社へ連絡する

破損・浸水した太陽光設備には近づいたり触れたりしないでください.被災したパネルでも日射を受けて発電する場合があり,パネルやケーブル,パワーコンディショナへの接触で感電するおそれがあります(太陽光発電協会,2018).

設備に損傷がある場合は自立運転を試さず,安全な場所から販売店・施工店へ連絡します.自分で配線を直したり,設備を動かしたりせず,避難が必要なときは自治体などの安全情報を優先しましょう.

使いたい家電に合わせた設備選びと,平常時の確認を組み合わせることが,停電時に電気を役立てる備えになります.